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Abendの憂我な部屋

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2013年 01月 03日

ワルターの一面


 ワルター/フィラデルフィアOによる『未完成』。1947年録音の10インチ番です。ジャケの右下にあるマークのとおり、コロムビア・ダイアモンドシリーズの一枚です。コロムビアの廉価盤は、このシリーズから始まったのではないでしょうか。

 ディスク式録音機による盤です。1947年当時の米コロムビアは、まだテープ録音が行われていなかったらしいのです。日本では、終戦の玉音がこの方式による録音として有名です。映画『日本のいちばん長い日』に録音シーンがありますので、ご覧いただければと思います。

 この盤は、数年前に中古店で買いました。お聴きのとおり盤質がひどいので、200円で売っていたものです。殆ど聴かずにいましたが、一度SONYからCDが出ただけのようですからアップしました。入力レヴェル70%、WAVEモノラルでの録音です。

 ワルターのザッハリッヒな一面が出ている演奏だと思いました。第1楽章にそれが顕著で、高機能なフィラデルフィアOを充分に引っ張っています。強弱のつけ方に独自のものがありますが、推進力豊かな曲運びだと思います。
 第2楽章もメロディーをあまり歌い込まず、イン・テンポで淡々と進めています。ワルターへの固定観念のようになっている流麗な甘味は、それを期待して聴くと裏切られるというか、新たな発見をもたらしてくれる演奏になっていると思います。


 

by Abend5522 | 2013-01-03 23:18 | クラシック音楽


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