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Abendの憂我な部屋

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2012年 12月 06日

昭和の三曲



 
 永井秀和の『天使のエレーヌ』。メキシコ・オリンピックが開催され、国内ではGSブームであった1968年のリリースで、永井は17歳だった。昔の時代劇が好きな人ならば、悪役俳優として有名だった永井秀明を知っていると思うが、その息子が永井秀和である。
 GSでいえば、タイガースの『僕のマリー』やオックスの『ガールフレンド』のような、メルヘンティックな恋の歌の系列曲だ。当時は、歌謡曲もGSの影響を受けたものが多く、エレキにストリングスが入っているところなどにそれがうかがえる。「エレーヌ」だけを歌うバックのスクール・メイツと呼応する構成になっている。高度経済成長後期の、夢と憧れが投影されているともいえるだろう。


 
 森田公一とトップギャランの『惜春の唄』。ニューミュージック時代であった1978年のリリース。
 『昭和ブルース』などの作詞家である山上路夫のいささか説教臭い歌詞に、陰影の濃い音楽を作る森田が作曲した「唄」だ。「娘らよ、娘らよ、恋をしろ」と歌詞にあるように、当時でも古めかしい雰囲気を持った曲だと思ったが、ギター独奏用の楽譜でよく弾いたものだ。ストリングスが活躍する編曲も森田によるもので、坂田晃一からスマートさを減じたような曲調である。


 
 『天使のエレーヌ』がリリースされた1968年に生まれた山本理沙の『恋する素敵』。バブル期であった1986年のリリース。彼女の濃い眉毛は当時の流行だった。
 この時期は曲名に特徴のあるものが多い。この曲でも、「恋する」と「素敵」という連結不可能な語が繋がれている。しかし、一方では歌詞に「女ともだち」という古い言葉も使われている。『惜春の唄』と同年にリリースされた高田みづえの曲に『女ともだち』があるが、それから8年後のこの曲においてもまだ現役だったのだ。逆に、上で挙げたオックスの『ガールフレンド』(1968年)の歌詞には「女ともだちと呼ばないで」とあるから面白い。

現代ではもう、天使のような彼女の名はエレーヌではなく、「ガールフレンド」も「女ともだち」も、そして前者の略称であるGFも殆ど使われなくなった。


 
 

by Abend5522 | 2012-12-06 01:07 | クラシック以外の音楽


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