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2012年 11月 05日

パールヴァティとカーリー


 准胝観音は、観音菩薩の三十三化身のひとつとされている。だが、「准胝」は「清浄」を意味する女性名詞「チュンディー」の音写で、古くから「佛母(一切諸佛の母)」とも称されていることから、チュンディーを観音とするのは疑問である。

 チュンディーは、インドの女神ドゥルガーが佛教に取り入れられたとされている。
 ドゥルガーは、アスラ(阿修羅)族の王マヒシャが軍勢を率いて神界に戦いを挑んだ時に、神々の怒りの念が結集されて生まれた。彼女は神々から授けられた様々な武器と、山神が与えた獅子に乗ってアスラ族を殲滅し、アスラ王マヒシャを討ち取った。ドゥルガーとは、「近づき難き者」という意味である。

 ドゥルガーは、慈愛に満ちた女神パールヴァティーと同体とされている。パールヴァティーは「山の女」という意味で、ドゥルガーに獅子を与えた山神の娘である。シヴァ神の妻で焼身自殺をしたサティの転生としてシヴァの妃となった。象頭神ガネーシャは、彼女とシヴァの間に生まれた息子である。

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 世にも怖しい女神カーリー。彼女もドゥルガーと同体とされており、シヴァの妃である。殺戮に勝利し、美酒に酔うと大地を揺るがせて踊るため、画像の如く夫のシヴァがクッション代わりになってやっている。
 カーリーとは「黒き者」という意味であり、佛教では「大黒天女」と称される。画像のカーリーは肌が青く、同体のドゥルガーは黄色、パールヴァティーは金色に描かれるが、インド神話では、パールヴァティーは本来肌が黒かった。それを夫のシヴァに嘲られたため、創造神ブラフマが彼女を哀れに思って金色の肌に変えてやったという。また、カーリーはカーリーマー(黒い母)とも称される。映画『インディージョーンズ 魔宮の伝説』では、王宮の地下に邪神カーリーを奉ずるサギー教団が描かれているが、その祈りの文句に「カーリーマー」とあったはずだ。なお、サギーはヒンディー語でタギーといい、19世紀に実在したカーリー信仰による殺人集団である。

 以上のように見てくると、山神の娘たる慈愛深きパールヴァティーは、山すなわちヒマラヤ山麓一帯のアーリアンの女神であり、ドゥルガーやカーリーは、古くからの土着神がそれに吸収されていったのではないだろうか。ドゥルガーの出自についてはよくわからないが、カーリーはベンガル地方の土着神といわれている。すると、本来黒かったパールヴァティーが金色に変化させられたのは、パールヴァティーの出自がカーリーにあったと言わねばなるまい。黒ー地母神というベンガル地方の土着信仰が、金色のアーリアンの神に変貌させられたということになるだろう。

 破壊と再生をもたらすシヴァ神の化身はマハーカーラ(大暗黒天)である。佛教に取り入れられ、更に神道と習合して現在の大黒さんになってしまったが、これもマハーカーラがシヴァの化身なのではなく、シヴァの出自がマハーカーラと見るのが妥当であろう。

by Abend5522 | 2012-11-05 00:42 | 佛教


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