2012年 08月 08日
テレビでロンドン・オリンピックを観ていると、この1981年の英国映画のメインタイトルを耳にする。ギリシアの作曲家ヴァンゲリスがシンセサイザーを駆使した、当時では斬新な曲だった。 邦題が『炎のランナー』であるこの映画を、私は友人とロードショーで観た。英国のファッションに関心が強かった学生時代のことだ。 原題の『Chariots of Fire』は『炎の戦車』とでも訳すのが正しいのだろうが、それでは戦争映画と間違われてしまうだろう。1924年のパリ・オリンピックで活躍した、実在の陸上競技選手であるユダヤ系英国人のハロルド・エイブラハムスと、スコットランド人宣教師のエリック・リデルを描いた映画だから、『炎のランナー』という邦題の方がわかりやすい。だが、旧約聖書においてエリヤが昇天する時に乗った炎の戦車に原題が由来していることは、この映画を理解するために知っておかねばならないことだ。 エイブラハムスは、ユダヤ人に対する偏見を受けつつもパリ・オリンピックで金メダルを獲得し、その後長く英国陸上界の重鎮となった人物。リデルは神のために走って金メダルを獲得し、その後出生地である中国で宣教活動を行ったが、戦中に日本軍によって収容所へ送られ、そこで亡くなった。この二人を反目させ、同時に結びつけていたものは、ユダヤ教とプロテスタントという宗教だったとしか考えられない。"Chariots"と複数形になっているのは、二人が二頭立ての古代戦車の如く、神の高みへ昇って行ったからだろう。 私の記憶に残る最初のオリンピックは、1964年の東京オリンピックだ。 古関裕而が作曲したファンファーレも忘れ難いが、公募による『この日のために』(三浦洸一・安西愛子・ビクター合唱団)は更に忘れられない曲だ。歌詞には文語が多く使われていて、4コーラス目にある「世界のよしみ」の「よしみ(誼。親交のこと)」など、今では希に「誼を通じる」という文句が使われるぐらいである。 最初といえば、第1回の国民体育大会は京阪神で開催された。そして、第2回の石川県大会で作られたのが、大会歌『若い力』だ。 中学の時に練習させられたおかげで、この歌は今も通して歌える。1コーラス目に「 肩ににひとひら花が散る 花も輝け希望に満ちて」とあるのが印象的で、敗者への励ましを比喩的に歌っているのではないか。 ペルゴレージとヴィヴァルディに歌劇『オリンピアーデ』がある。どちらも視聴したことはないが、ペルゴレージのものは序曲だけレッパード盤を持っている。両作品とも、オリンピック競技には関係ないようだ。
by Abend5522
| 2012-08-08 22:39
| クラシック以外の音楽
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