2012年 06月 25日
何度聴いても、第1楽章の序奏がJ.S.バッハの管弦楽組曲第3番の序曲と感じが似ている。つまり、フランス風序曲の形になっているということだ。オーボエを欠く楽器編成とともに、この作品の謎である。 ハイドンの交響曲第104番『ロンドン』の序奏も壮大なファンファーレといった趣だが、39番の方が先に作曲されている。ハイドンの交響曲は『ロンドン』で終わってしまったが、モーツァルトは序奏を必要としない40番と41番『ジュピター』、そして39番をわずか3ヶ月足らずの間に作曲したというのは、驚きのほかはない。また、彼は39番を遂に聴くことなく世を去ったというから、作曲者自身も聴けなかった作品を幾種もの演奏で聴ける我々は、かかる状況下に生きていることに感謝せねばなるまい。 スイトナー/SKB盤。LP時代には、発売されるごとに買い揃えて行った長い付き合いの一枚である。提示部をリピートせず、一気呵成に仕上げるザッハリッヒなアプローチだ。オペラ公演やコンサートも含めて、スイトナーの演奏で様々な作曲家の作品を聴いたが、モーツァルト以外で素晴らしいと思ったのはLGOとのハイドン/交響曲第100番『軍隊』と、SKDとのストラヴィンスキー/『春の祭典』、同じくSKDとのビゼー&ウェーバーの交響曲第1番だけだ。 もう1枚は、マリナー/ASMF盤。強弱の幅を強調した演奏で、マリナー流のリリシズムが39番には似合う。テンポを動かして表現するタイプの指揮者ではないので、あっさり流しているような印象を受けるかも知れないが、百戦錬磨の手兵たるASMFの実力がよく発揮されていえ、何度でも聴きたくなる演奏だ。 39番を初めて聴いたのは、ワルター/コロンビアSO盤。但し、その第3楽章である。LP時代にソニーの「音のカタログ」というのがあって、有名曲のサワリが収録されている中にワルター盤の第3楽章があった。高弦を「ヒュン」と伸ばすような表現に感動したが、今CDで聴くとコロンビアSOの生々しい音色の方が耳について、あの時のように感動しない。 今は持っていないCDで無性に聴きたいのが、バーンスタイン/VPO盤。「ベートーヴェンのような演奏」という非難もあるが、少なくとも第1楽章の序奏は凄い。近々再入手したい。 硬質な演奏では、デイヴィス/SKD盤が堂々たるものだが、遅めのテンポが今の私には合わない。これは、サヴァリッシュ/チェコPOの柔らかい演奏にもいえることだ。これらとは逆に、マッケラス/スコティッシュ室内O盤は、溌剌とした演奏で好感が持てる。惜しいのはヴァンデルノート/パリ音楽院O盤で、モノラルとはいえ音質が悪すぎる。 sawyer様のお導きにより、マーク盤も持つことが出来た。独自なパウゼの入れ方が魅力的だ。テンポの揺らし方にも、何か彼の「悟り」を感じる。他では聴けない演奏だ。もっともっと聴き込みが必要だ。
by Abend5522
| 2012-06-25 01:27
| クラシック音楽
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