2012年 05月 05日
7番を聴いたウェーバーは、ベートーヴェンが精神に異常をきたしたと思ったそうである。うべなるかな、第2楽章以外のリズム、音の多さは、当時の人々の許容量を超えていたとしか思えない。1813年初演。奇しくも、この作品を「舞踏の権化」と評したワーグナーと、ベートーヴェンを尊敬していたヴェルディの生まれた年である。 クリュイタンス/BPOのべト全の中でも、7番は特に素晴らしい。1957年の録音。フルトヴェングラー没してより3年、カラヤンが首席指揮者となってから2年、そして、独自の美音を奏でるローター・コッホが、首席オーボエ奏者となった年だ。 BPO初のべト全がクリュイタンスの指揮で録音されることになったのは、シューリヒト/パリ音楽院Oによるそれとのバーターによるものだが、クリュイタンスは既にバイロイトで指揮を行い、シューリヒトとともにVPO初のアメリカ公演での指揮者も務めていた。 YouTubeには7番がUPされていないが、5番があったので挙げておきたい。 7番でのクリュイタンスは、量の多い音を混濁させず、常にリズムを明瞭に刻んでいる。ディナーミクやアゴーギクによる変化は、ほとんどつけていないにもかかわらず、一本調子になることはない。どっしりした低域に支えられた上に、柔らかい旋律線が描かれる。剛柔が融和した、聴いていて楽しくなる演奏である。 7番は、遅くても速くても聴く側にはストレスとなる。クリュイタンスのテンポが合うかどうかは人さまざまだが、私には彼のテンポが一番合う。
by Abend5522
| 2012-05-05 20:36
| クラシック音楽
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