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2012年 05月 01日

☆ 私の愛聴盤 ベートーヴェン / 交響曲第6番『田園』

 今の家に越す時にレコードを数百枚売却し、数十枚を持って来た。その中に、フルトヴェングラー/VPOの『田園』がある。
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 VOX原盤で、1971年にコロムビアから「栄光のフルトヴェングラー<別巻1>」として発売された1944年録音盤。アセテート盤に残されていたものらしく、当時は1953年発売のEMI盤とは別ソースの『田園』として話題になったものだ。

 当時中学生で、フルトヴェングラーが好きだった私は、この盤が発売されたことを『週刊FM』で知り、中学生には大枚の2000円を出してすぐに買った。私にとって初めての『田園』のレコードだった。

 録音状態が悪く、スクラッチノイズも盛んなこの盤を、久しぶりに聴いてみた。久しぶりなので、愛聴盤ではないのだが、新鮮な感じがした。ライナーノーツにEMI盤との演奏時間比較がされているが、トータルではEMI盤より1分ほど短い。第2楽章だけは20秒遅いが、第1楽章は45秒も速い。録音のせいもあって全体的にトーンが暗いが、そこには1944年という時代も反映されているのかも知れない。

 さて、愛聴盤である。
 まずは、コンヴィチュニー/LGO盤。そして、ケーゲル/ドレスデンPO盤。前者は、第2楽章の悠揚たるテンポが一番の魅力だ。後者は、冷徹なまでの透明感に貫かれたザッハリッヒな演奏が底知れぬ感動をもたらす。

 さらに、前記の二種に匹敵する感動をもたらしてくれたのが、リンデンベルク/ウィーン・フォルクスオパーOのものである。
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 リンデンベルク/ウィーン・フォルクスオパーOによるベートーヴェンは、『英雄』・『運命』とこの『田園』を持っているが、『英雄』はi-Tunes StoreからDL購入しか出来ず、『運命』はLP、そして『田園』は入手困難のCDである。本ブログをご覧になる方々が聴けるものを挙げるのが筋だろうが、愛聴盤ということでご容赦いただきたい。私も、偶々オークションで見つけて入手したものだ。株式会社トーンが企画・制作し、東京音楽工業が1991年に発売した、「ベスト・クラシック・コレクション」というシリーズの中の一枚で、ライナノーツは無く、全20巻から成るこのシリーズのカタログ(紙一枚)がついているだけだ。しかも、そこにはジャケのモノクロ画像、曲名、オケが記載されているのに、指揮者などは全く記されていない。

 ウィーン・フォルクスオパーOといえば、モーツァルトやウィンナ・ワルツをよく演奏し、明るく素朴な音を出すマイナーなオケというイメージしかなかったが、リンデンベルクとのベートーヴェンを聴いて驚いた。確かにトーンは明るい。木管の響きなどは仄々とした味わいがある。しかし、リンデンベルクの指揮はこのオケを余り歌わさず、速めのテンポでグイグイと引っ張って行く。アタックの強い低弦、金管の咆哮、ティンパニーの強打など、このオケに抱いていた先入観を吹き飛ばす勢いだ。全曲を一気に聴き終えられる、淀みの無い演奏である。

 今回は、HABABI様とsawyer様のブログを先に拝読することができた。独断だが、ご両人とも『田園』に「恬淡の美」を聴いておられるのだと思う。私も、リンデンベルク盤にそれを聴いた。ウィーン・フォルクスオパーOというオケからは、指揮者によっては甘味をいくらでも引き出すことができるだろう。リンデンベルクが、なぜこのオケでベートーヴェンの交響曲を録音しようとしたのかはわからない。ただ、彼はその学者然とした風貌から受ける印象とは違う、かなり鋭敏な神経の持ち主であったことは確かだと思う。

 このCDには、『エグモント』序曲と序曲『コリオラン』も収録されている。もしかしたら、ベートーヴェンの交響曲全集の録音があるのかも知れない。なお、私はこれも偶々オークションで見つけて入手した、同じコンビによるブラームスの3番のLPも持っているが、これも素晴らしい演奏である。

 以前、sawyer様のブログで、『未完成』第1楽章がアクセントで終わる版がリンデンベルクの校訂になるものとわかり、この指揮者が只者ではないことをいっそう強く認識させられたが、如何せん、知名度が低いどころか、忘れ去られた指揮者の一人になってしまっていることが残念でならない。

by Abend5522 | 2012-05-01 23:42 | クラシック音楽


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