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Abendの憂我な部屋

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2012年 04月 29日

☆ 私の愛聴盤 ベートーヴェン / 交響曲第5番『運命』

 嘗ては、クラシック入門者が最初に買うLPが『運命』/『未完成』のゴールデン・カップリングで、演奏はカラヤン/BPOのグラモフォン盤というのが王道であった。私もこのLPを知人から貰ったが、初の『運命』はセル/クリーヴランドOの17cm盤だった。今ではセル盤のべト全も持っているが、聴く頻度は極めて少ない。

 中学時代は、フルトヴェングラー/VPOのLPを愛聴していたが、コンヴィチュニー/LGO盤に出会ってからは、これが私のスタンダートになった。その後も、ライナー/シカゴSO盤やリンデンベルク/ウィーン・フォルクスオパーO盤などに強く惹かれたが、これらはコンヴィチュニー盤とは傾向が全く異なるものであった。

 何年ぐらい前になるか、コンヴィチュニー盤を聴く時と同じ体感を得られた演奏があった。フェレンチク/ハンガリーPO盤である。
 
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 フェレンチクのベートーヴェンは、第九をLPで聴き、これは見事な演奏だと思ったのが初めてだった。1907年生まれなので、コンヴィチュニーとほぼ同世代の指揮者で、戦前にはトスカニーニの補助指揮者を務め、ウィーンでも活躍したが、戦後は祖国ハンガリーで、1984年に亡くなるまで指揮活動を続けた。名指揮者輩出王国のハンガリーだが、多くのハンガリー出身指揮者が西欧やアメリカを活動拠点としたのに対し、ハンガリーにとどまったフェレンチクは、そのせいもあって日本での知名度は低いものだった。リスト、バルトーク、コダーイといったハンガリーの作曲家の作品が、フンガトロン原盤の廉価盤LPで細々と出ていただけだったと記憶する。

 フェレンチクの5番は、第一楽章でティンパニーを強打させ、運命の動機を常に強調しているのが特徴だ。また、高弦のアタックを一貫して強くし、戦闘的なアプローチを聴かせる一方で、清涼なアーティキュレーションによって木管をゆったりと響かせもする。終楽章のリピートはしていないが、最後まで精緻なアンサンブルによって驀進する。クライバー/VPO盤の破滅型の驀進や、ヤルヴィ/ドイツ・カンマーカンマーPOの鋭角的なそれではなく、コンヴィチュニーに似た重心の低い驀進である。

 画像は全集盤からのもので、5枚組のそれぞれはプラケースに入っていて、ジャケもそれぞれ違うのが面白い。 

by Abend5522 | 2012-04-29 01:03 | クラシック音楽


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