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Abendの憂我な部屋

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2012年 04月 01日

北上夜曲ふたつ

 いうまでもなく、岩手県で生まれた名曲である。その誕生のエピソードはさておき、数多くの歌手によって歌われて来たこの曲の中で、私が素晴らしいと思ったのは、今のところ二種類である。



 若き日の倍賞千恵子は、声だけなくルックスも私のタイプである。彼女の歌を初めて聴いたのは、松竹映画『宇宙大怪獣ギララ』の挿入歌である『月と星のバラード』だった。映画ではラストにほんの少し流れるだけだが、持っていたソノシートには全曲入っていて、小学生だった私は、この素敵なお姉さんの美声に魅了されてしまった。これもYouTubeから挙げておこう。知らない人が聴いたら、怪獣映画の挿入歌とは思わないだろう。



 さて、倍賞千恵子の歌う『北上夜曲』は、高度な歌唱力の持ち主である彼女独自の工夫が効果をあげている。
 ワンコーラス目は、何の表情もつけずに歌う。初めて聴いた時には、「この調子で最後まで歌うつもりか」と首をかしげた。しかし、ツーコーラス目から徐々に表情をつけて行き、進むごとに豊かな響きが満開して行く。これは、並みの歌手では出来ることではない。流石に、松竹音楽舞踊学校首席卒業者だ。



 次は、一向にその名唱の数々がCD化される気配の無い野路由紀子の『北上夜曲』である。彼女は、演歌歌手に分類されていて、この曲の歌唱にもコブシが入る。しかし、それは最小限度に抑えられており、ノン・ヴィヴラートに近い澄んだ美声で淡々と歌っている。
 野路由紀子は、倍賞千恵子のように学校で歌の教育を受けた人ではない。美空ひばりに憧れて高校を中退し、個人レッスンを受けて叩き上げた歌手である。

 『北上夜曲』は、他にも歌の上手い歌手が多く歌っている。YouTubeで聴けるソロだけでも、芹洋子も小柳ルミ子も上手い。しかし、あまり心には響いて来ない。惜しいのは石川さゆりで、16歳の時に歌ったものだから声が完全に子供だ。『津軽海峡冬景色』の時の声で歌ってくれていたら、さぞ素晴らしいものになっていたはずだが。また、島倉千代子のものは、演歌的な表情をつけ過ぎているという感を持った。
 クラシック畑の歌手のものは、島田祐子にせよ鮫島有美子にせよ、御免蒙りたい。クラシックの歌手が叙情的な歌謡曲を歌ったのを聴いて、いいと思ったことは一度もない私である。

by Abend5522 | 2012-04-01 03:01 | クラシック以外の音楽


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