Abendの憂我な部屋

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2012年 03月 22日

今読んでいる本

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 幻冬舎新書から出ている中川右介の本も、何冊目かである。
 第九の誕生から始まり、この作品が様々な作曲家や指揮者によって、変容されつつ世界に拡散されて行く歴史が描かれていて、非常に読み応えがある。「クラシック・ジャーナル」編集長である中川の博識ぶりには驚くが、それをよく読み手に伝えるのは、良質なジャーナリストの筆致だろう。

 事柄の伝達にせよ、ロジックの開陳にせよ、書き方、言い方によって行為者の意志は様々な受け止められ方をする。それが最もよくわかるのが、政治と報道の世界だと思う。

 民主主義という統治形態において、権力は自らの意志を「民意」として表出する。宗権や王権において、教団や王の意志が「神の意志」として表出されたのと同じである。

 本書を読むと、第九もまたドイツ・ナショナリズム、社会主義、ヒューマニズムといった、相容れないものに共通して利用されて来た(そして、現代も利用され続けている)ことがわかる。その意味で、第九は「神」でもあり「民」でもあり、「縁起物」でもある。第4楽章をめぐる経緯などが、それを如実に伝えてくれる。

 大分読み進めた。今夜は、「学徒出陣と『第九』」の項からとなる。

by Abend5522 | 2012-03-22 22:22 |


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