人気ブログランキング |

Abendの憂我な部屋

abend.exblog.jp
ブログトップ
2012年 03月 17日

◆ ブログ連動企画第14弾 ストコフスキーの『ルーマニア狂詩曲第1番』楽団録 ◆

c0240245_174823.jpg

 ステレオ初期は、大手レコード会社が、自社レーベルの優位性を録音技術で争った時代であった。RCAヴィクターも、ハリウッドの映画用オケの腕利きメンバーが結成したグレンデールSOを、RCAヴィクターSOという録音専用オケとして、有名指揮者に数多くの録音をさせた。ストコフスキーがこのオケを単に指揮するだけではなく、そのステレオ録音技術にも大きく関与したことは、充分に推測できる。

 エネスコ(今はエネスクと表記するようだが)の『ルーマニア狂詩曲第1番』は、曲自体がステレオ録音に効果を発揮し、大衆受けのする親しみ易さを持っている。ストコフスキー盤の録音は1960年。エネスコが亡くなってから5年後である。

c0240245_18374630.jpg

 エネスコが、同じルーマニア人でまだ幼児だったディヌ・リパッティの頭を撫でている、有名な写真である。本か雑誌かは忘れたが、「エネスコはリパッティを可愛がった」という文句が添えられたこの写真を初めて見た時、これは女の子ではないのか?リパッティはヴァイオリンも習っていたのか?と不思議に思ったものだ。エネスコは、作曲家としてよりも、ヴァイオリニスト、音楽教育者として有名だったが、私が聴いたわずかな範囲でも、優れた曲を作っている。調べると、エネスコはルロイ・アンダーソンの和声法の師であり、ヴァイオリンの弟子筋に至っては、グリュミオー、メニューイン等々の錚々たる名があった。

 『ルーマニア狂詩曲第1番』は1901年の作品だが、前年の1900年に作られた弦楽八重奏曲は後期ロマン派的作品で、シェーンベルクの『浄夜』に似たパッセージも登場する。終楽章で民俗風のメロディーが少しだけあるが、正面には出て来ない。


 チェリビダッケがブカレストのジョルジェ・エネスコPOを振った「濃い」演奏である。ノリノリのチェリビダッケが9分あたりで叫び声を発している。優雅さから乱舞へと熱狂して行くリズムとスピード感溢れる演奏だ。


 こちらは、ストコフスキーがこの曲の特徴を自ら解説し、BBC響を使ってそれを示している映像である。彼は、ジプシー音楽の要素を使った祝祭的な作品として、この曲を捉えているようだ。チェリビダッケのような舞曲的アプローチではなく、いわば交響詩的なアプローチというべきだろうか。RCA盤を聴いてもシンフォニックな広がりに主軸が置かれていて、曲の進行は重い。木管をかなり強くオン・マイクにしているようで、冒頭の木管部分に少しハム・ノイズがあったり、中間部分でもレベルがオーバー気味になっている。

 チェリビダッケのような舞曲的アプローチは、聴く者をエキサイトさせる。ストコフスキーのシンフォニックな演奏には、こういう身体に訴える要素は無いが、当時の録音技術をフル活用した色彩豊かな音響を聴かせてくれる。これがストコフスキーの大きな特徴だと思うのだが、それ故に、我が国ではきちんとした評価をされて来なかったのだろう。

 sawyer様。では、お次は『悲愴』を宜しくお願いいたします。

by Abend5522 | 2012-03-17 20:10 | クラシック音楽


<< 今読んでいる本      ◆ ブログ連動企画第12弾 ス... >>