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2015年 09月 27日

ブルックナー/交響曲第4番『ロマンティッシェ』のコンヴィチュニー盤 第9回「現所有12盤」

1 Opera NR.40/1161(LP/VSO盤/Mono/1960) ※VSO初出盤。録音自体もOperaによる。 ※1stトレモロ抜け
  16:27/13:56/10:13/19:23 計59:59(ジャケ表記なし)
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2 日本Columbia OS-3398(LP/VSO盤/Stereo/1963.9) ※『フランツ・コンヴィチュニーの芸術』第1集。1stトレモロ抜け。Opera録音表記あり。
  16:29/13:59/10:16/19:28 計60:12(ジャケ表記なし)
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3 eurodisc 70 003 KK(LP/VSO盤/Stereo/1964) ※1stトレモロ抜け
  16:34/14:02/10:17/19:32 計60:25(ジャケ表記なし)
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4 ETERNA 8 20 504-505(2LP/VSO盤/Mono/1966) ※1stトレモロ抜け。4面収録。ETERNA初出盤。
  16:30/13:59/10:16/19:23 計60:09(ジャケ表記なし)
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5 eurodisc 86 367 XHK(5LP/GOL盤/Stereo/1972) ※1stトレモロ抜け。3面収録。5番・7番とセット。GOL初出盤。
  16:29/13:59/10:15/19:28 計60:11(ジャケ表記 16:22/14:25/10:23/19:36 計60:46)
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6 日本Columbia OS-2940-K(LP/GOL盤/Stereo/1973.12) 1stトレモロ抜け。5の日本初出盤。
  16:26/14:01/10:16/19:28 計60:11(ジャケ表記 16:22/14:25/10:23/19:36 計60:46)
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7 ETERNA 8 25 504(LP/VSO盤/Stereo/1974) 1stトレモロ抜け。4の擬似ステ盤(エテルナトレーディング情報)
  16:30/14:00/10:15/19:30 計60:15(ジャケ表記 16:42/14:05/10:25/19:37 計60:49)
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8 日本Columbia OC-7055-K(LP/VSO盤/Stereo/1976.4) ※『名曲ギャラリー55』。1stトレモロ抜け
  16:35/14:03/10:19/19:35 計60:32(ジャケ表記 16:18/13:51/10:08/19:14 計59:31)
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9  Treasures TRE-007(CD-R/VSO盤/Stereo/不明) ※PARNASS 70003(1970年代)よりの板起こし盤。1961年録音。1stトレモロ抜け
  16:34/14:01/10:17/19:31 計60:23(ジャケ表記 16:44/14:07/10:24/19:39 計60:54)
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10 DENON COCO-75401(CD/GOL盤/Stereo/1993) ※『コンヴィチュニーの芸術』①。1960年録音。1stトレモロ抜け
  16:31/14:00/10:16/19:30 計60:17(ジャケ表記 16:22/14:25/10:23/19:36 計60:46)
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11 DENON COCO-75407(CD/VSO盤/Stereo/1993) ※『コンヴィチュニーの芸術』⑥。1961年録音。1stトレモロ抜け
  16:38/14:04/10:19/19:36 計60:37(ジャケ表記 16:42/14:05/10:25/19:37 計60:49)
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12 DENON COCQ-84623(CD/VSO盤/Stereo/2009.6.24) ※オリジナルマスター修復の世界初CD化。1961年録音。1stトレモロ抜け
  16:37/14:04/10:20/19:36 計60:37(ジャケ表記 16:30/14:10/10:25/19:37 計60:42)
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# by Abend5522 | 2015-09-27 18:25 | クラシック音楽
2015年 08月 19日

ブルックナー/交響曲第4番『ロマンティッシェ』のコンヴィチュニー盤 第8回「演奏時間」

① Opera NR.40/1161(LP/VSO盤/Mono/1960) ※初出盤。録音自体もOperaによる。
② 日本Columbia OS-3398(LP/VSO盤/Stereo/1963.9) ※『フランツ・コンヴィチュニーの芸術』第1集。
③ eurodisc 70 003 KK(LP/VSO盤/Stereo/1964) 
④ 日本Columbia OS-2940-K(LP/GOL盤/Stereo/1973.12) ※日本初発盤。
⑤ ETERNA 8 25 504(LP/VSO盤/Stereo/1974)
⑥ 日本Columbia OC-7055-K(LP/VSO盤/Stereo/1976.4) ※『名曲ギャラリー55』。
⑦ DENON COCO-75401(CD/GOL盤/Stereo/1993) ※『コンヴィチュニーの芸術』①。1960年録音。
⑧ DENON COCO-75407(CD/VSO盤/Stereo/1993) ※『コンヴィチュニーの芸術』⑥.1961年録音。
⑨ DENON COCQ-84623(CD/VSO盤/Stereo/2009.6.24) ※オリジナルマスター修復の世界初CD化。1961年録音。
⑩ Treasures TRE-007(CD-R/VSO盤/Stereo/不明) ※PARNASS 70003よりの板起こし盤。1961年録音。
   ※は、第一楽章のトレモロ抜けの有無を表す。 
 
 新たに⑤・⑩を入手したので加えた。
 上記の10種類を聴き、楽章ごとの演奏時間を以下の状況で計ってみた。
  (1) 計測には、デジタル式ストップウォッチを使用した。
  (2) 1/10秒は四捨五入した。
  (3) 第一音が聴こえた瞬間に計測を始め、残響が消えた瞬間に終えた。
 結果は以下のとおり。
  ① 16:27/13:56/10:13/19:23 計59:59(ジャケ表記なし)
  ② 16:29/13:59/10:16/19:28 計60:12(ジャケ表記なし)
  ③ 16:34/14:02/10:17/19:32 計60:25(ジャケ表記なし)
  ④ 16:26/14:01/10:16/19:28 計60:11(ジャケ表記 16:22/14:25/10:23/19:36 計60:46)
  ⑤ 16:30/14:00/10:15/19:30 計60:15(ジャケ表記 16:42/14:05/10:25/19:37 計60:49)
  ⑥ 16:35/14:03/10:19/19:35 計60:32(ジャケ表記 16:18/13:51/10:08/19:14 計59:31)
  ⑦ 16:31/14:00/10:16/19:30 計60:17(ジャケ表記 16:22/14:25/10:23/19:36 計60:46)
  ⑧ 16:38/14:04/10:19/19:36 計60:37(ジャケ表記 16:42/14:05/10:25/19:37 計60:49)
  ⑨ 16:37/14:04/10:20/19:36 計60:37(ジャケ表記 16:30/14:10/10:25/19:37 計60:42)
  ⑩ 16:34/14:01/10:17/19:31 計60:23(ジャケ表記 16:44/14:07/10:24/19:39 計60:54)

 演奏時間がジャケ表記されるようになったのは、1970年代からだろうか?それにしても、ジャケ表記と自前の計時との差には驚かされる。再生・計時機材や無音部分まで含めるかどうかなどはあるのだが。
 ④と⑦・⑤と⑧のジャケ表記は同一だ。DENONが『コンヴィチュニーの芸術』シリーズでGOL盤⑦とVSO盤⑧を発売する際、新たに計時をせずに先発の④・⑤の演奏時間をそのまま引き写したのだろう。しかし、④と⑦はともかくとして、⑧はなぜ1976年発売の⑥ではなく、ETERNA盤の⑤の演奏時間を引き写したのだろう?⑥のジャケ表記がひときわ目立つのは確かだが、これを避けた理由がわからない。
 ⑨のジャケ表記も不自然だ。第3楽章・第4楽章が⑤・⑧と同一ではないか。しかも、自前の計時では第2楽章も同一で、第1楽章も1秒しか違わず、むしろ⑤との間の時間差が大きい。そして、⑥とほぼ同じである。ゆえに、演奏時間から見れば⑥・⑧・⑨は一括りにしていいだろう。ただ、⑥には第1楽章のトレモロ抜けが無いのに、⑧にはそれが有る。更には、⑨は①以外には使われたことのないオリジナルマスターを新発見し、修正およびリマスタリングしたというにも拘らず、①との間には演奏時間に大きな開きがある。片やLP、片やCDであることを考慮しても、この時間差は大き過ぎる。⑨は本当に新発見のオリジナルマスターとやらを使ったのだろうか?
 初出盤である①の演奏時間は、トータルで見れば10種類の中で目立って速い。しかし、楽章ごとに見ると②・④・⑤・⑦と一括りに出来るだろう。ただし、第4楽章だけはそれらとの差が気になるが。
 ②は、既に述べたように盤ラベルにOpera録音と表記されており、トレモロ抜けもないので①との同一性に問題はない。また、④と⑦は上記のとおりジャケ表記の演奏時間も引き写されたものと思われるので、⑦は④のCD化と見ていいだろう。
 ややこしいのは④と⑤である。④はGOL盤としてeurodiscが発売したものの日本初発盤なのだが、既に述べたように、eurodisc盤のラベルにはドイツ・シャルプラッテンの録音であることが明記されている。また、④より後に発売された⑤は同じETERNAが1966年に発売したモノラル盤を擬似ステレオ化したものらしい。そうであれば、⑤と同じく黒の背景にコンヴィチュニーの指揮姿を配した5番・7番も発売されており、これらも同じETERNAにモノラル盤がある(最近発売された組物CDでは、7番がモノラルに「戻って」いる)。一方、1972年発売のeurodisc盤も4番・5番・7番という組み合わせで、盤ラベルにドイツ・シャルプラッテンの録音とあることから、4番・5番・7番はETERNAのモノ盤(どれもVSO盤)が先ずあって、それを擬似ステレオ化したものが1972年にGOL盤としてeurodeiscが、1974年にVSO盤としてETERNAが発売されたということになるだろう。これは、オリジナルがモノラル録音と仮定してのことだが、聴感上もそうではないかと思う。しかし、このことを以てGOL盤の存在を否定するのには抵抗がある。
 ・④・⑤・⑦と⑥・⑧・⑨は、それぞれ一括りに出来るのではないかと述べた。では、残りの③・⑩はどうかといえば、⑩はPARNASS盤の板起こしであり、PARNASSはeurodiscの通販レーベルである。自前の計時でもほぼ同じであり、⑩の番号である70003からも③と同一であることがわかる。また、③・⑩は⑥と演奏時間がほぼ同じであるから、③・・⑧・・⑩を一括りに出来るだろう。番号を赤にしてあるのは、第1楽章のトレモロ抜けが無いものである。
 今回は、演奏時間の観点から、⑨が本当に新発見のオリジナルマスターを修正およびリマスタリングしたものなのかという疑念をいっそう強くすることが出来た。また、第1楽章のトレモロ抜けについては更に追求して行きたいと思う。

 
 



 




 


   



 
 


 
 





# by Abend5522 | 2015-08-19 21:51 | クラシック音楽
2015年 07月 02日

ブルックナー/交響曲第4番『ロマンティッシェ』のコンヴィチュニー盤 第7回「いつ?どこから??」

 今回も、手持ちのLP・CD一覧を使用する。

 ① Opera NR.40/1161(LP/VSO盤/Mono/1960) ※初出盤。録音自体もOperaによる。
 ② 日本Columbia OS-3398(LP/VSO盤/Stereo/1963.9) ※『フランツ・コンヴィチュニーの芸術』第1集。
 ③ eurodisc 70 003 KK(LP/VSO盤/Stereo/1964)
 ④ 日本Columbia OS-2940-K(LP/GOL盤/Stereo/1973.12) ※日本初発盤。
 ⑤ 日本Columbia OC-7055-K(LP/VSO盤/Stereo/1976.4) ※『名曲ギャラリー55』。
 ⑥ DENON COCO-75401(CD/GOL盤/Stereo/1993) ※『コンヴィチュニーの芸術』①。1960年録音。
 ⑦ DENON COCO-75407(CD/VSO盤/Stereo/1993) ※『コンヴィチュニーの芸術』⑥.1961年録音。
 ⑧ DENON COCQ-84623(CD/VSO盤/Stereo/2009.6.24) ※オリジナルマスター修復の世界初CD化。1961年録音。

 GOL盤非実在説=VSO盤・GOL盤同一ソース説を知ったのは、先達であるsawyerさんのブログを拝見したのが初めてだった。その時点では、⑥も⑦も持っていなかったからだ。そして、私の知る限り、この説がどこからかしら現れたのも、⑥・⑦が同一シリーズから同時発売された1993年以降のことだと思う。それ以前から、国内外を問わずにGOL盤の真偽論争があったかどうかは、ネットなど普及していない時代でもあり、また音楽誌でそれが取り上げられたという記憶もない。

 高校時代に④を購入して何度も繰り返して聴き、学生時代に⑤を入手しての聴感は、④の時とは大きく異なるものだった。GOL盤以前にVSO盤が発売されていたことは目録で知っており、廉価盤で再発された⑤を買ったわけだ。テンポ等が似ているとは思ったが、「GOL盤の方が、深みがあっていい」というのが当時の感想だった。これは、基本的に今も変わっていない。

 既に述べたように、VSO盤は1963年発売の②とその再発盤が既に在り、そこへGOL盤の④が突如として発売されたわけだ。当時では、コンヴィチュニーのコアな愛好者は現在よりも多くいたはずだ。④の発売はコンヴィチュニー/GOLが来日公演を行ってから12年後なので、コンサートを聴いた愛好者も多かったと推測出来るわけで、かつそういう愛好者はVSOとの内外盤も聴いていたに違いない。そうだとしたら、GOL盤の④が発売された時点で、「これはVSO盤と同じではないのか?」という疑問を呈して、その裏取りをして論評する評論家や、音楽誌に投書をした愛好者がいてもよさそうなものではないか。そういう記事があったのならば、当時既にコンヴィチュニー好きだった私は目に留めたはずで、毎月購入していた『レコード藝術』・『音楽の友』の当該記事をスクラップしていただろう。現に、スクラップした記事の数々は今も手元にあるが、GOL盤の真偽問題に触れているものは皆無である。このような記事があったのならば、ご教示を請いたい。

 以上のことから、真偽問題をもたらしたのは、やはり同時発売された⑥・⑦によるものと思わざるを得ない。sawyerさんのブログを拝見すると、真偽問題の発生はネットが普及し、クラシック音楽の掲示板が立てられた10数年前のことだ。では、国内外を問わず、真偽問題は誰が、如何なる裏づけによって言い出したことなのだろうか?コンヴィチュニーのディスコグラフィーにはGOLとあるのは表記上の誤りとしか記されておらず、ブルックナーの交響曲のディスコグラフィーに至っては、チェコPO盤とVSO盤しか掲載されていない。しかし、演奏からそう断定する理由については不明のままだ。これにいつの間にか「うっかりミス」によるものという、これまた曖昧な理由が付されることとなり、勝手に「決着」とされているのが、現今の有様である。

 いつ、どこから真偽問題が発生し(あるいは作られ)、それがそのようにして決着(あるいは隠蔽)されたのか?


# by Abend5522 | 2015-07-02 00:25 | クラシック音楽
2015年 06月 30日

ブルックナー/交響曲第4番『ロマンティッシェ』のコンヴィチュニー盤 第6回「ETERNA盤」

 ETRNA盤を専門に取り扱う某社は、次のような説明を載せている。 

「コンヴィチュニーは4番を最初チェコpo.とSUPに入れていた。LPV 122-3。これはその後の別録音。825 504で擬似ステレオが出ているが、これがモノラル・オリジナル。珍しいウィーンpo.との録音。音は悪くない。ゲヴァントハウスo.とは、やはり弦の音色が異なり、少々華やぎを感じる。ハース版を使用。ベートーヴェンと少々異なる大胆なスタンス。しかし、抑えたコンヴィチュニー節は健在。どこまでも渋く、しかし、浮かび上がる真実味。素晴らしい音質!擬似ステの必要性はまったく無い。」

 「これはその後の別録音」という表現が、チェコPOとのものが複数あるかのような印象を与えてしまう。また、「珍しいウィーンPO.との録音」はVSOの誤りで、コンヴィチュニーVSOとの録音は珍しいとは言えない。更には、「ハース版を使用」しているのはチェコPO盤だ。文章自体に問題がある。


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 「これがそのオリジナル」というのが、ETERNA 820 504-5(VSO/Mono/1966)。画像が小さいので、オケの名前が判断出来ないのが難。
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「825 504で擬似ステレオが出ている」というのが、このETERNA 825 504(VSO/Stereo/1974)

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 上記二種盤の間に、eurodiscがは4番・5番・7番のセットであるeurodisc 862 362-6XK(GOL/Stereo/1092)を発売した。
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 上記セット盤の4番の盤ラベル。"ANTON BRUCKNER"の上に注目してもらいたい。"Aufnahmen VEB Deutsche Schalplatte Berlin/DDR"と明記されているではないか。訳すと、「人民公社『ドイツ・シャルプラッテ』(東独 ベルリン)で録音されたもの」となる。

 「うっかりミス」によるGOL盤非実在説は、GOL盤である5・7番のソースはTERNAからライセンス契約で借り受け、4番のみがeurodiscの自社ソースであったことを大前提にしている。しかし上記の盤レベルにある表記が正しいのであれば、この大前提は瓦解してしまう。4番のソースもまた、ETERNA録音盤のMonoソースを擬似ステレオ化したものではないのかという疑念がわくのである。ただ、Mono盤である820 504-5の画像が小さく、その左上にきされていると思われるオケの名が読み取れないのは難儀なことだ。妻からルーペを借りて見ても、至近から写真を撮ってみても駄目だった。ディスコグラフィー等の諸データによって、VSO盤としておくが。

 1 VSO?のMono盤820 504-5がETERNAの録音による原盤。それが擬似ステレオ化されたものがGOLのeurodisc 862 362-6XK所収盤とVSOのETERNA 825 504。

 2 GOLのeurodisc 862 362-6XK所収盤の日本発売盤が日本colunbia OS-2940-K。この再発盤を経て、初CD化されたものがDENON COCO-75401とVSOの75407。

 3 前回で述べたことから、1・2はともに第1楽章中間部に「トレモロ抜け」が有るグループ。ETERNA原盤であるVSO?のMono盤820 504-5にも有るかは疑問。

 Opera Nr.40/1161に始まる「トレモロ抜け」の無いグループと、それが有る上記グループ。そして、ここで再び頭をもたげて来るのが、「トレモロ抜け」が有るeurodisc 70 003 KKの存在だ。ETERNA 820 504-5に「トレモロ抜け」が有るならば、その先行盤であるeurodisc 70 003 KKに遡及出来ることになる。だが、そのeurodisc自身が"Aufnahmen VEB Deutsche Schalplatte Berlin/DDR"と盤ラベル に明記しているのだから、そうだとすれば矛盾を呈することになってしまう。

 Opera原盤とは別に、ETERNA原盤の存在を疑わせることを以て、今回を終えることとしたい。

  

 
              
            


 

 
 








# by Abend5522 | 2015-06-30 03:10 | クラシック音楽
2015年 06月 28日

ブルックナー/交響曲第4番『ロマンティッシェ』のコンヴィチュニー盤 第5回「第1楽章 トレモロ抜け」

 まず、今まで取り上げた手持ちのLP・CDにつき、改めて発売年順に記して置きたい。

 ① Opera NR.40/1161(LP/VSO盤/Mono/1960) ※初出盤。録音自体もOperaによる。
 ② 日本Columbia OS-3398(LP/VSO盤/Stereo/1963.9) ※『フランツ・コンヴィチュニーの芸術』第1集。
 ③ eurodisc 70 003 KK(LP/VSO盤/Stereo/1964)
 ④ 日本Columbia OS-2940-K(LP/GOL盤/Stereo/1973.12) ※日本初発盤。
 ⑤ 日本Columbia OC-7055-K(LP/VSO盤/Stereo/1976.4) ※『名曲ギャラリー55』。
 ⑥ DENON COCO-75401(CD/GOL盤/Stereo/1993) ※『コンヴィチュニーの芸術』①。1960年録音。
 ⑦ DENON COCO-75407(CD/VSO盤/Stereo/1993) ※『コンヴィチュニーの芸術』⑥.1961年録音。
 ⑧ DENON COCQ-84623(CD/VSO盤/Stereo/2009.6.24) ※オリジナルマスター修復の世界初CD化。1961年録音。

 https://youtu.be/SEgXFL92Rc4
 これは、昨年FBにもupしたものである。④と⑤を使い、第1楽章中間部に一瞬の抜けがある弦のトレモロを確認したもので、④には有り、⑤には無かった。聴感では「抜け」というよりパウゼという感じなのだが、スコアには見た限りでそのような箇所はない。よって、ここでは瑕疵として扱うことにする。疑問は残るが。

 弦のトレモロ抜けの有無を、今回は上記①~⑧について聴取してみた。結果は、以下のとおりである。

 有:③・④・⑥・⑦
 無:①・②・⑤・⑧

 第3回で述べたように、⑧は初出盤である①のみに使われたマスター・テープを修復してリマスタリングしたものということなので、①にないトレモロ抜けが⑧に有るのはおかしいことになる。同時に、この瑕疵はそもそも①・②・⑤に無いのであるから、ここは⑧の修復対象ではなかったとも言えるわけだ。
 ②にも無いのは、その盤ラベルに明記されている"Europäischer Phonoklub Recording"からすれば、Stereo盤もあるという①を原盤としているからだろう。そして、②の何度目かの再発盤である⑤にも無いのが当然ということになる。

 トレモロ抜けが有る盤について見て行こう。
 ③はeurodiscからの初発盤でない可能性もあるが、第3回でも述べたように、Operaのマスター・テープが傷んでいたためにセキュリティー・コピー・テープを使ったということになっている。すると、トレモロ抜けの瑕疵が発生したことには、次の三点が考えられる。

 A セキュリティー・コピー・テープに既にあった。
 B Mono盤・Stereo盤のカッティングかプレスにおいて発生した。
 C Stereo盤が擬似Stereoであるならば、その作成過程において発生した。

 Mono盤を持っていないので比較出来ないのが残念だが、可能性としてはこの三点が考えられるだろう。

 GOL盤である④・⑥にトレモロ抜けの瑕疵が有るのは、⑥は④のCD化と見てよいからだが、④については第4回でも述べたように、その元である1972年秋発売のeurodisc盤が自社ソースなのか、それともETRNAソースなのかが決め難い。ブルックナーの交響曲ディスコグラフィーにあるコメントが正しいのであれば、VSO盤であるETERNA盤は録音もETERNAということになり、Operaの録音であることが覆るか、あるいは二種類の録音があったことが推測出来ることとなる。⑥と同じ『コンヴィチュニーの芸術』シリーズにVSO盤の⑦があり、それにもトレモロ抜けの瑕疵があることは、「うっかりミス」によるGOL盤非実在説支持者にとっては、⑥・⑦が同一のVSO盤であることの証拠になるのかも知れないが、そのためには第4回で付記した4・5・7番のセット盤の4番がeurodiscのソースであることと、ETERNA盤がドイツ・シャルプラッテンの録音ではないことが証明されねばならない。「うっかりミス」によるGOL盤非実在説は、私の知る限りETERNA盤の存在については全く触れていない。ETERNA盤が、eurodiscの1972年発売のセット盤より後に発売され、ライセンス契約によってeurodisc盤を再発したのなら話は別であるが。

 VSO盤である⑦については、大きな疑問がある。DENONレーベルの⑦には、発売元が日本Columbiaであるにも拘らず、なぜトレモロ抜けの瑕疵が有るのだろうか?既に見て来たように、日本Columbiaはこの瑕疵の無い②・⑤、すなわち①を継いだ盤を発売している。第3回でも述べたように、②と⑤の間にも1971.11発売のOS-2547があった。⑦は、なぜ自社が発売して来たそれらを受け継がなかったのか?
 ②にはOperaのロゴと、盤ラベルに"Europäischer Phonoklub Recording"とあり、eurodiscのロゴも表記もない。帯の裏には「コロムビアインターナショナルが包括する世界のレーベル」として、11のレーベル名がロゴとともに記されているが、その中にOperaのロゴと「ドイツ オイロペーシェル」とあって、eurodiscは記されていない。「オイロペーシェル」は、"Europäischer "のことだ。それが、⑤では盤ラベルにeurodiscのロゴが表記されているのだが、ジャケには日本Columbiaのロゴしかない。
 eurodiscは、1958年に設立されたAriola社のクラシック部門のレーベルで、この前身がOperaとされている。②が発売された1963年は、まだOperaレーベルの時代だったのだろうか?しかし、レーベルがOperaにせよeurodiscにせよ、日本Columbiaがトレモロ抜けの瑕疵の無い自社発売盤のソースを受け継がず、この瑕疵の有るVSO盤のCD⑦を発売したことに変わりはない。では、②の再発盤の最後が⑤であると仮定して、日本初のCD化盤である⑦との間、すなわち1976年から1993年までの間に何があったのかというと、そう、1989年~90年の「ベルリンの壁」崩壊から東西ドイツ統一に至る世界的一大事があったのである。
 日本Columbiaがトレモロ抜けの瑕疵の無いVSO盤である②・⑤を既に発売していながら、この瑕疵の有るVSO盤⑦を日本初のCD化盤として発売したことは、東西ドイツ統一におけるドイツのレコード業界の混乱を反映したものと推測して、今回を終えることとしたい。
 
 

 


# by Abend5522 | 2015-06-28 23:02 | クラシック音楽